三陸 海 旅 つれづれなるまま

三陸沿岸 へき地移住者の暮し 旅の話など

順番は聞いてはいましたが なるほどです 式 No.397

正月三が日明け。

先月準備していた喪服を着る機会がありました。

約30年の中古屋商売で入手した数多くの喪服の中からいただいた「予備」少々。

アルマーニのような「超有名ブランド」を除き、サイズのある背広や喪服は中古では売れませんし(処分)、家と車と外食にお金をかける割合が高いかもしれない県央で、「超有名ブランド」は1着も出ることはありませんでした(売れたとしてもヤフオク等で)。

何着かの喪服の中に同じ苗字がふたつ出て、どちらが自分の購入品か忘れるほどの年月経過。

それなら「着て判断する」しかありません。

 

ネットで確認しても、一般的な葬儀のスケジュールは「通夜⇒葬儀・告別式⇒火葬」(後火葬)などと掲載されていますが、こればかりは「地域差」があります。

国道を県央から県北に移動する際に見られる「電柱看板」には、その「地域差」が色濃く出ています。

もちろん、表示の内容(仕方)も都市部の「○○家」だけの簡単なものから「住所・喪主・日程・場所」までしっかり書いてあるものまでバラバラです。

県央の自分の祖母の時は「通夜⇒葬儀⇒火葬」でしたが、隣接する県北では「通夜⇒火葬⇒葬儀」の表示です。

それに対して三陸沿岸部のこのあたりは「通夜⇒葬儀⇒火葬」ではなく「火葬⇒通夜⇒葬儀」の順番です(「前火葬」「骨葬」)。

考えられる理由は「漁師町ですぐ駆けつけられず後日葬儀を行うため」、山間部だと「雪ですぐ駆けつけられないため」等々・・・。

また、沖縄あたりだと「ご遺体の腐敗を防ぐため」の風習が残る地域もあるとか。

当時は快晴ながら日中の気温は2度。

平時と違い「黒服のマスクマンとマスクウーマン」は意外とわかりにくいようで、「あっ!そこにいたの~」なんて(言われる身)。

ご自宅からの出棺前に順番に手を合わせ、正午に出棺。

車で10分、旧町の小さな火葬場は一組限定、こじんまりとしていてわかりやすいのが利点です。

 

幸い同級生を含め多くの方が集まってくれました。

きれいに化粧された顔を拝んで最後のお別れのあと、スイッチオン。

約90分間待つ間、出入り口で「一足先に帰る方々に食べ物と飲み物を渡す」係をしました。

中身は「助六寿司とビール・お茶等」。

「数が読めない」ため多めに用意したようです。

新聞に「訃報広告」を載せるのは明日。

理由は、明日でないと火葬により多くの方が集まり混乱をきたすから、とか。

 

強風に周りの木々が揺れ動きだいぶ寒さ感じる中、窓から差し込む太陽が暖かくありがたい。

出入口で扉を開け閉めすれば、遠い昔、ホテルの相互研修で「ベルボーイ(荷物運び)」と「客室係」が一日だけ相互体験した時のことを思い出しました。

当時、表には扉を開け閉めしながら約2000名の顧客を覚えていて「○○様いらっしゃいませ」とあいさつする「名物のドアマン」がいました(不思議といまだ名前を憶えています)。

当時、ベルボーイは入口(中)で一日中立ちっぱなし(7時間15分勤務、午前・午後15分と昼の30分休憩)でお客様をお迎えしました。

駅チカでロビーに喧噪絶えぬ古参の有名ホテル(千代田区内幸町)と違い、天井の高い広く静かな空間(ロビー)に緊張しながら、あっという間に過ぎた一日。

当時を思い出し、自然と背筋をピンと張り・・・・・。

 

約90分後。

骨上げ(収骨)が行われ、彼女は骨壺の中身となって自宅へ戻っていきました。

 

1年ちょっと前の冬の夜。

亡き友人と”打ち上げ花火”を見た海岸は、風強かれど青く澄み渡っていることでしょう。

火葬が始まり、喪主が友人の”あいさつ”を代行して読み上げる中、悟りを開いたかの如く強気なことを言っていた友人の本心は、同じ病で60代の父と祖父を亡くし、やはり「もうちょっと生きたかった」と。

昨年あたりから、周りの友人・知人が複数亡くなり始め、そのことが自分に「死」について考えるきっかけを与えることとなりました。

自分や長寿家系の両親の「死」までの備えは?

話し会える親と、いつまでも生きたい(話は厳禁の)親と・・・・・(別れています)。

旅立つ順番に前後はあれど、「幸せだった」とつくづく思う最後に。

 

このあともお勤めはありますが、新聞に載ったことで、いったいどれだけの方がいらっしゃるのか?

家族葬」ということでしたが、自分が父親から依頼されている「参列者一けたの家族葬」とは全然違い、想像もつかない数の家族葬になるやもしれません。

32年前、バリ島(インドネシア)の海岸を行くヒンズー教徒の”赤や黄色主体の明るい葬儀姿”に共感を覚え、明るく送り出す気持ちで式の終わりを迎えたいと思います。

この世からの”卒業”。