(リアス海岸にもある海水浴場 写真はグーグルマップより)
先日、知人が再就職先を探しているというので、どんな感じか教えてもらいました。
三陸沿岸の地元では一度も訪れたことがないハローワークですが、ネットで”事務職”を検索した結果は以下のようなものでした。
・漁業 正社員 15万円から 日祝休み
・漁協 臨時職員 16万円 土日祝休み
臨時職員 16万円~16.5万円 週休2日 *現場立ち合いあり
・農協 契約社員 135,800円~153,400円 土日祝休み
・魚加工工場 契約社員 164,000円~208,000円 日祝休み
・運送会社 契約社員 152,000円~168,000円 *3カ月更新
・大手地方銀行 パート 時給950円
・保険会社A パート 時給975円
知人いわく、「漁業の事務所なら魚がもらえる?かも・・でも、漁船員さんの不足と高齢化でいつまで事業が続くやら・・・」。
これらより求人件数が多い小売り・サービス業なども見てみましたが、技術職などの一部を除き条件は似たり寄ったり。
一方、大手求人サイトでは飛び抜けて高額のものも少数ありましたが真意はどうでしょう?
スーパーなどは全店舗が出ていたりすると、集まらないのかなと思ってしまいます。
金額(月給・時給)を見て”高い”と思う方はそう多くはないと思われますが、収入と同時に他地域と比較され重要なのが支出(生活費)です。
「住」
そこで住まいは?と大手サイトを見てみると、アパートを中心とする家賃は
・築46年 3K 3万円~3.5万円
・築24年 3DK 3.5万円
・築59年 3K 3.5万円
・築45年 2K 3.5万円
・築29年 2DK 3.5万円 ・・・ほかにも似たような築浅ではない物件が多数
(*3万円未満は長年ありません)
・家賃4万円になると 築51年 2K とか 築38年 1k とか 築54年 3K とか
・家賃5万円で築62年 3K などというものも・・
築浅はないのかと見てみれば下記のみ、
・築10年以内で 1K 5.5万円 は掲載写真から復興作業員の宿舎だった?
・築17年 2LDK 6.2万円~7.2万円 まで掲載されていました
古い”昭和の市営住宅”はありますが、2DK エレベーターなし、
駐車場代を入れると3万円オーバーです。
さらに、給湯器等初期費用が別途かかります。
他に風呂釜まで購入する必要のある市営住宅も他にありますが・・・・・。
震災後各所にたくさん建てられかなりの数が空いている市営住宅(*災害公営住宅)は単身不可(*60歳以上は場所により可)ですが、夫婦か家族2人以上で上記のような収入なら格安(概ね2万円台~)で住むことができます。
築6年から8年が多いのでとても快適です(*自分は戸建て1SLDK ・55㎡・納屋付)。
空き家バンクは過去何十回と見ても他地域と比べ昭和30年代/40年代からの割に割高な物件が多い印象で、実際何軒か賃貸・売買物件を見てみましたが・・・・自分は諦(あきら)めました。
「衣」
フリマやリサイクルショップはほぼありませんがユニクロやしまむらはあり、衣類はあまり地域間格差がない方かもしれません。
「食」
スーパーは人口の多い県央の方が数多く選択肢があり割安です。
”海産物”は産地が近い割に割高で、知り合いに漁師さんがいない限り都市部と同じくスーパーで購入することがほとんどです(*もらったけど量が多いのでと言ってたまに回ってきます)。
「その他」
電気屋さんはチェーン店が(まだ)複数あり、ネット以外の選択肢があります
地元電気店は今でも”お得意様商談会”を定期的に開催しているようです
家具屋さんはチェーン店がなく地元店の営業はありますが、希望に応じて離れた場所まで出向くことになります。
ホームセンターは2社3店で、割安大型店は隣接する隣県に。
自動車必須の地で車の諸費用(購入費・車検やオイル交換/修理等維持費・ガソリン代)や水道光熱費も少数の人口で割高です(*税金は除く)。
用事で120~130㎞離れた県央の県庁所在地へ赴(おもむ)くにも、時間とお金がかかります。
自営業主(自分で仕事を行う)ではなく非雇用者(人に雇われる)希望の知人は上記の中から選ぶか、希望に沿わない場合新規求人を待つことになります。
なので、地元の方で家から通ってなんとか生活が成り立つ・・・感じでしょうか?
「地方移住」
自治体は数日から2カ月までのお試し移住(数日は”滞在”)を継続中のようです。
対象者は医療費等費用のかかる中高年(*自分)ではなく、なるべく若者か子育て世代(*現役世代の納税者)が望ましいかもしれません。
他の多くの自治体と足並みをそろえるように、「小中学校の給食費の無償化や医療費助成」は昨今行うようになった模様です。
お試し移住(数日は滞在)以外は特に”特典”のようなものはないので、仕事も住む場所も自力で得ることが求められます。
無事移住できたとして、これからも小中学校のみならず高校も統合が進む中、”自然の中で子育て・卒業後は大都市部へ進学・就職”の流れはそう変わらないのでは、という予感。
地方暮らしの収入と支出の現状を一例ではありますが、参考までに列挙いたしました。
公共施設を含めいつも空いている場所が多く、並んだり駐車場を探すことがほとんどないのは少数人口の利点です。
人間関係を含む環境は悪くない、むしろいい(*個人の意見で個人差があります)と思う自分ですが、なんの”つて”や”ご縁”もない場合、移住先候補になるかどうかは何とも言えません(★暑いより寒い土地です)。
奇しくも先日、山陰と山陽地方の2つの町の”今後の町づくり”を映像で見る機会がありました。
⇒「住みやすく・働きやすく、時間はかかっても町の中心部に人や各種施設を集約する」(*個人的には理想と思いますが実現は容易ではありません)
他自治体の移住者を呼び込む、人口減少を前提としたあの手この手の対策・工夫に、「ライバルは全国・引く手あまた」という認識を再確認した、へき地県境民です。
(島の展望台から太平洋を望む)