(昨年12月 福島県 浜通り このあたりにあった集落と震災遺構の小学校記念碑/地図 今は反射する風景の通り、草地の先は太平洋)
今から38年前の1986(昭和61)年、転職直後の離職で幸運にも実現した長旅。
「旅と鉄道好きが一生に一度多くの国を訪れる」条件に合致したのは、当時東西に分かれていたヨーロッパでした。
6月12日(木)
イギリス海峡を渡りフランス滞在9日目。
(地図と写真はグーグルマップより)
西部沿岸の港町/要塞都市サン・マロ(地図左下↓↓)からレンヌ、ル・マン経由で一気にトゥール(地図中央下↓↓)まで進んだわけは・・・。
昨夜とは打って変わって快晴の真っ青な空の下、真っ青な海にさよならを言い、ユースホステルから重いリュックをしょって駅へ向かいました。
無事駅に着いても11時21分発レンヌ行の列車は動かず、改札口も開かない!
そうでした・・・。
今日はストの日・・・(フランス全土でストライキ)。
一時、”ユースホステルへUターンか?”の考えが頭をかすめましたが、それでも他のお客さん方と待っていたかいがあり、11時57分に発車!!
海に流れ込む川をさかのぼり列車は進みます。
(ヨットも浮かぶ沿線の川 海は近い)
13時過ぎ、1時間ちょっとで”行きに通った”レンヌに着けば、”12時台に2本あるパリ行エキスプレス(急行)のうちの1本”がまだ停まっている!(*ストライキ効果)
これは”渡りに船”、まさしく”塞翁(さいおう)が馬”。
かえって遅れが幸いしたのです。
”ストでも動いているなら動いているうちに乗ってしまえ”
(進め~!)の心境でした。
乗車率75%は皆さんまるで”ストでも動く列車はある”と分かっているかのよう・・・。
それでもストはスト。
ストで”ダイヤ(運行時刻)は遅れに遅れ、狂いに狂い、あとは風(運)任せ・・・。
(レンヌとル・マンの間 ご縁がなかった町 懐メロ♪さ~ら~ば~ラバウルよ~♪ではないラバル/LAVAL)
車中の心配事は、次の乗り継ぎ駅ル・マンで列車に間に合うか?ということでした。
目的地トゥール行は14時52分発が行ってしまうと次は18時21分のローカル線。
その割に”手に汗握る”こともなく、”どうなるかなぁ~?でもまぁなんとかなるか??”と楽観視していたら14時50分着。
はたして・・・・・5両のディーゼルカーは待っていました!
それも車両は新しく”冷房付”で立派でお金をかけている感じでした。
(便せんメモより)「テーブル・網かご・窓開かず・ゆったり座席」
「とすれば、(日本の)キハ10はなんなんだ?(*キハ10は1953年/昭和28年から728両製造された、ディーゼルカー普及のいしづえとなったオレンジ2色・国鉄色の車両・1986年当時はまだ現役でした)」
(西部の県庁所在地 ル・マン)
沿線には広大な畑が一面に見られ、この国が農業国なことをいやおうなしに意識させられました。
上は大空、下には広大な畑広がるのんびりとした風景を眺めていると、心まで大きくなりそうなれど、心地よさからくる”眠気”に注意・・・(乗り過ごしはバスで経験済です)。
(沿線でよく見られる 畑広がる平原 農業国フランス)
ディーゼルカーは例のごとく時速120キロ以上を出し、途中一駅停まっただけで80キロを1時間、目的地トゥールに無事16時着で一安心・・・。
(トゥール駅)
シェール川とロワール川の間に位置する大学都市トゥール。ガロ・ローマ時代から栄えてきた古い歴史のある町で、今では大学街であると共に、ロワール渓谷地域の城を訪れる際の拠点です。
地図を見ても城のある地名が街の周りに点在しています。
さて、本日のお宿・ユースホステルは150名収容でもあてにならない(=満員かもしれない)ので事前に電話するとまたまた話し中・・・。
(メモより)「もしかすると”昼間”は電話応対しないのか??」
いやおうなしに4㎞離れた現地へ出向き、17時の受付が”勝負”の分かれ目になってしまうのはまずいと17時の勝負は電話に決めました。
なぜか駅の”公衆電話機”(*携帯電話はまだない時代)の内訳は”テレホンカード式4台に対して硬貨式1台で、誰もカードを使わないので1台に長い列が・・・(*なので連続で何度もかけられない)。
駅の外も2対1で並んでいるのはコインのほうだけ・・(フランス人は古式ゆかしい?)。
17時に再度”挑戦”しましたが、先ほどと同じ”プープー”で勝負あり!
結局、いやおうなしに4㎞離れた現地へ出向き”勝負”することに・・・。
ユースホステルまでのバスは5.3フラン(=150円)。
国税庁発表の統計によると、1986年(昭和61年)の平均年収は386万円
35年後、2021年(令和3年)は443万円で約15%上昇(約13%低い↑)
幸い定員オーバーにはならず泊まることができました。
されど本日も団体さんがいて、小学生の元気な声が響き渡ります。
(メモより)「部屋は10人。平屋(2段ではない)のベットで落ち着かず」
「フランスのユースホステルは数が少なく、設備が整っておらず保全状態もかんばしくない」
「150人にシャワーが二つ お風呂(バス)は当然ない」
「便器に便座がない 台所に洗剤がない 洗濯機やドライルーム(乾燥室)のあるイギリスは夢のよう 」
それでもって団体さんとくれば結果は・・・。
やたら、パン屋さんとカフェばかりが目立つ国は、海を挟んだイギリスとは一線を画し、たくさんの”個性”を持つようでした。
旅先で与えられた環境や条件を”楽しめるか?苦痛に感じるか?”は人に寄りけり。
日本との違いを”是”とするか”否”とするかが旅の分かれ目なのかもしれません。
つづく