現在、JR東日本の気仙沼線、大船渡線で運用されているBRTバス(バス高速システム)。
いずれもいわば”災害ローカル線(=災害復旧に高額の費用がかかるためBRTバスに転換されたローカル線)です。
「BRT」とは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムです。(*国土交通省からの引用)
主な特徴は、(*JR東日本からの引用)
・鉄道運行時に比べ1.5~3倍、昼間の時間帯も高い頻度で運行。通学生の多い朝夕は更に増発し、使いやすい運行本数が魅力です。
・GPSを利用した「ロケーションシステム」で車両の走行位置を常時管理。最新の運行状況を、分かりやすく駅のモニターやスマートフォンでお客さまに提供します。
(同じローカル線でも本数の差は歴然・気仙沼駅・ただしバスゆえ到達時間は遅い
右上はモニター)
9月10日(日)、青春18きっぷの使用期間最終日、JR東日本の気仙沼線(BRTと鉄道)、大船渡線(BRT区間)を乗ってみました。
早朝。
隣県から来たバスに”最初の乗客”として乗り込み、今回も”貸し切り”です。
続いて、全線で2時間近くかかる”気仙沼~柳津/やないづ間”は2名で出発。
途中トイレはどうするのか運転手さんに聞くと、
「前もって言ってもらえればトイレのある駅に降ろす」。
なんともフレキシブルな対応で、乗客が少ないため”時間が余るダイヤ(時刻表)”ならではです。
バス停(正式には駅)が新設された際、トイレも併設されたところはあちこちにあり、一方で”トイレ廃止”がニュースになる昨今、なんだかなぁ~感はありありです。
(津波被害のあった赤い区間はBRTバスに・なぜか鉄道区間のみ料金表示が・・)
気仙沼線(72.8㎞)は1957(昭和32)年に気仙沼側が開業し、1968(昭和43)年には前谷地側が柳津線(やないづせん)として開業。
1977(昭和52)年に両線を結ぶ柳津~本吉間の新線が開業。
「滑り込みセーフ」で国鉄時代に開業した最後の地方交通線です。
途中、できて浅い、人気の道の駅がある大谷/おおや海岸で路線バス停留所の時刻表を見れば、平日4本が土日祝日はゼロですか・・・。
平地少ない”リアス式海岸”沿岸の、民家のない/少ないところを通り、”駅(バス停)”に着いてもあたりは閑散、1軒も建物が見えない、なんて・・・・・。
(新聞記事)「津波で18・9キロの線路が流失」
”津波で住めなくなった/住まなくなった”せいもありそうです。
圧巻なのは、1744mや2136mを筆頭として大小30か所はありそうなトンネルを抜けることです。
単線ゆえの幅の狭い”壁”を1両のバスが走り抜ける”体験”はなかなか味わえないかもしれません。
高低差はあまりないけれどくねくねした道を行くBRTバスと、真っすぐな”切通し”とゆるやかなカーブを通る、制限速度80㎞(実際は??)の三陸自動道では比べものにはなりません。
70人乗りのバスに2時間乗った結果、全乗客は4人で”通し”は自分一人。
何台かすれ違ったバスを見ても、見事に空気を運んでいる・・・。
平日なら違った結果(通勤通学でもっと多い)かと思われますが、赤字額はいかほどに・・・(公表されていません)。
https://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20221209-OYTNT50219/ (BRT10年で利用減深刻 人口減・交通手段分散化)
(線路の切れた柳津/やないづ駅・この先は舗装されたBRT区間が沿岸部まで)
(このあと到着した1両のディーゼルカーから7人がバスへ・・)
バスはちょうど”自動運転区間”延伸工事中で国道を走り、おそらく”次”がない自分には残念・・・。
工事完了後は”運転士もいなければお客もいない”、それこそ「無人運転」がかなり予想されそうです。
(柳津発前谷地行BRTバス5本↑↑は途中停車なしの直通便です)
待合室が閉鎖された無人駅柳津から終点前谷地/まえやちまでは、1両の”貸し切りディーゼルカー”で出発~。
こちらも、1駅を除き”あたりに建物があまり(ほとんど)ない、”集落を外れた駅”が続きます。
途中なんとか2人を拾い、計3人、22分で終点へ。
この先も利用者減少が続くなら、いつ”終わる(廃線)”のか・・・・・。
重い気の救いと言えば平野の左右に広がる、稲刈り前”黄金色の田んぼ”。
それはそれは美しゅうございました。
乗り終わって。
「3度の乗り継ぎで県央まで4時間近く」(ごく少数の鉄道ファン以外乗る人はいない)
「自動車道経由の高速バスは2時間」
(個人的には)今や全線を維持する理由(通しで乗る)は思い当たらず、通学/通院等で需要ある区間のみの自動車運行しか生き残る術(すべ)はないのでは、と思わずにはいられませんでした。
終