(いくつもある江戸時代の墓石の脇を抜けるとたどり着く、大理石海岸)
2月にあった高齢の親の引っ越しで不用品を分別していたら「期限内の”きな粉”が3袋」出てきて、いずれも開封済なことに親の現状を知る、へき地県境民です。
今から38年前の1986(昭和61)年、転職直後の離職で幸運にも実現した長旅。
「旅と鉄道好きが一生に一度多くの国を訪れる」条件に合致したのは、当時東西に分かれていたヨーロッパでした。
7月2日(水)
フランスから越境しスイス滞在13日目。
(地図と写真小文字の文はグーグルマップより)
スイス一の大都会チューリッヒから何度目かの湖・山越えで南東の州都クール(地図↓↓・右下)へ。
10時23分。
ユースホステルより徒歩6分のチューリッヒ○○○○○○駅から”鈍行”に乗り南下、湖岸を進みます。
有名湖(チューリッヒ湖)はそこかしこに人と船がいて、他湖と比べて”大湖ゆえの大味さ”がある感じ。
鈍行を40分ほどで乗り換えたのは、長いチューリッヒ湖を横断するためでした。
湖岸の反対、ラッパーズヴィル(地図↑↑中央)までの横断列車は予想に反して”ほとんど陸地続き”で湖は見えず、途中にかかる100m(*印象で短く感じた)の橋から湖を見るか見ないうちに到着~。
(路線の途中から)
対岸の町ラッパーズヴィルは「地球の歩き方(*海外旅行のバイブルとも言われた旅行本)」にも掲載されたらしく、(便せんメモより)「人やバスが多い それに遊覧船」
ここからチューリッヒ行ほか、遊覧船にはたくさんの航路がありました。
(ラッパーズヴィル)
(メモより)「この町でのんびりご飯を食べたりボーっと過ごしていたら、いつの間にか残り時間が足りなくなってしまった・・・」
そうです。
本日の残り時間は”鈍行乗り継ぎ”でおしまい、途中下車ができなくなりましたが、成り行きまかせも時にまたよし・・・。
(途中の乗り換え駅付近)
といいつつも、そういう時に限って”いい所”を見つけるもので、隣の湖で”えらく静かな、それでいて周りは山の岩そそり立つところ”などを車窓から眺めるだけで終わってしまったのは大変残念でした。
(メモより)「思わず3枚目の絵葉書を買う」
「(スイスの)最後のほうに来て、スイス本来の素朴さを見た気がした」
それは、自然いっぱい・眺望◎の区間を意味しました。
(隣の湖)
16時10分。
本日の目的地、州都クールは山国の山の中。
”氷河特急”のダボス・サンモリッツと並ぶ出発点(*ツェルマット行)です。
ユースホステルは駅徒歩25分。
(メモより)「比較的日本人には知られていないと思いきや!宿の利用者ノートにちらほら日本語が!!」
思いのほか場所がよさそうで、”比較的知られていない”は勝手なる思い込みでした。
宿で会った”一年間でアメリカ・カナダ・ヨーロッパを回っている邦人ご夫婦”はさすがに”栄養の偏り”が顔や髪の毛に出ているようで(*やつれているとも言う)、自分はこうなりたくないという想いを強く持ちました。
それでなくても、バックパッカーは”長旅では自炊をしなければ充分な栄養が摂れない”環境の中、”チェルノブイリ原発事故(現チェルノービリ)”であれは食べられない・これも食べられないと言っていた二人。
自分は・・・そんなことは言っていられませんでした。
幸か不幸か、欧州の人たちからも原発事故の話しはその後ほとんど出ていなかったことも影響しました。
ユースホステルの”22時消灯・7時半朝食(4スイスフラン・400円)”のおかげで、手持ち(スイスフラン)は15ちょっととなり、明日は予定通り”おさらば”できそうです。
国税庁発表の統計によると、1986年(昭和61年)の平均年収は386万円
35年後、2021年(令和3年)は443万円で約15%上昇(約13%低い↑)
もう少しいたい想いとうらはらに、高物価と滞在中に今度は弱含む円(約92.5⇒100円・為替レート)がその願望を打ち砕いた感じです。
13泊14日の旅路はほぼ直線・カーブありの一本道。
(メモより)「割高な鉄道運賃にあって”半額パス”の存在は大きい」
そのことをすっかり忘れた33年後の2019年。
約30年にわたり自営業を手伝ってくれた母親の希望で再び訪れた時に選択したのが、高額の”乗り放題パス”ではなく同じ”半額パス”だったとは、最近便せんメモを読み返すまでまったく気がつきませんでした。
皆さま(特に大都市部の方々)が想像する以上に安い作業賃で長時間労働する、地方の自営業者(*個人のリサイクルショップ)。
投資や富裕層を目指す行動など考えも及ばず、ひたすら目の前の作業に没頭し続けること33年・・・。
その結果、当時(1986年)に比べ円安(*1スイスフラン92.5円⇒118円)とインフレ(*日本は逆にデフレ)でかなり割高となった2019年の旅をやっと実現させるも、親を満足に山岳(高額)鉄道に乗せ終点まで到達することも、レストランに連れて行くことも叶わなかったのはまさに自業自得でした。
それから4年半後の2024年2月現在、円安はさらに1スイスフラン170.45円まで進み・・・・・。
これから先、”もっと(進む)”と言われていますが果たして・・・・・。
(山小屋風 クール ユースホステル 宿泊スタンプ)
つづく