三陸 海 旅 つれづれなるまま

三陸沿岸 へき地移住者の暮し 旅の話など

「旅」は遠きにありて「想うもの」2. 三陸沿岸/地方都市 No.465

(足湯・鹿児島空港

隣県のまるで知らない電気設備屋さんからDMが届いて驚く、へきち県境民です。

震災後、沿岸部にご縁ができて10年以上になります。

県央を除けば”県内で一番テレビに映る自治体”と思われる地方都市は、三陸自動車道ができるまで”陸の孤島”と言う方もいたそうです。

実際、以前は県央から車で3時間~3時間半はかかっていたのが、今ではノンストップなら2時間です。

そんな”陸の孤島”という方もいた場所で、旅好き(自分)が「旅」の”都市部との違い”を感じるのに、そう時間はかかりませんでした。

 

都市部なら日常的に目にする「ツアー募集のチラシ」や「新聞広告」「パンフレット」は皆無。

「旅行代理店」からしてどこにあるのか・・(間口の狭い・目立たない大きさの店舗が人口が6万人を切った街に3つ)。

修学旅行や会社旅行等定番商品でジリ貧(人口減少)ながらも営業しているのでしょうか?

 

普段、「旅」を意識することはあまりなく、「連想」するとすれば、週末の観光スポットに集う観光客や県外ナンバーの車からくらいでしょうか。

 

写真館さんからの依頼で、撮影で同行した小学校の修学旅行(アルバイト)。

目的地は県央の学校で昔自分が行った場所と同じ、ならば距離が長い分出発は早朝でした。

ツアー(一般旅行)の集合時間が午前6時は珍しくなく、昭和の時代は驚くことに5時ということも・・・。

早朝、公共の交通機関利用が望めない・平地少ないリアス沿岸部で自転車に乗らない土地では、集合場所まで車で「送り迎え」している姿が目に浮かびます(小学生〜高校生の送り迎えは日常です)。

 

震災後の避難所のインタビューで「生まれてからこの土地を離れたことなく、年に1日も泊りがけで出かけることはないので、一時的にでもこの土地を離れるのはつらい」と答えていた方が印象的でしたが、そのような方は決して珍しくないようです。

 

「普段外泊することはない方」も、「大名湯治」という3泊4日で隣県の温泉宿まで往復し(往復するだけで途中観光なし)、”旅回りの一座の芝居を見る”習慣があるようで、その時期になると複数台連なったバスを見かけたことがあります。

コロナ4年目の今年、はたしてその習慣は復活するのでしょうか?

 

都市部との大きな違いは、

・休みが少ない(月1・2日の週休2日制どころか、いまだに”日祝のみ””盆暮れGWで3日”も少なくない)

・長距離移動に欠かせない、鉄道(新幹線)・飛行機・高速バス等交通インフラが弱い

(首都圏に行くのに隣県の新幹線駅まで車で60分・1日600円の駐車場)

・市内の公共交通網は利用者減で利用に難がある(バスが走っていないところも多い)

・”旅行は高級品・ぜいたく品”の認識があり、優先順位は後ろ

昨今、インターネットで宿や乗り物・観光地の情報は街中と同じく入りますが、旅とのご縁は、、、。

 

それゆえ、今まで地元で”海外旅行をした”という話しを聞いたのは1例のみ。

「1泊2日で●●に行ってきた」(中には驚くことに”関東まで1泊2日・片道400㎞を車で”という方も)という話をたまに聞いたりしますが、あくまでたまにです。

中高年の中には「日本海を見てみたいけど・・(車で4時間です)」

「遠野(隣県岩手・民話の里)に行ったことがない(約60㎞)」

行く気がないというよりも、「日祝のみ休み・親の面倒見がある」ならば、「年1・2、3度の日帰り旅行」が精いっぱい、と時を過ごしているうちに”体の不調や病(やまい)で旅を断念する”時が来てしまいそうです。

 

とすれば、海外の話しやLCC(格安航空会社)を含む航空機、フェリー等旅の話や地元以外の話しは慎重に慎重に・・・。

魚や日常生活に関する話しは出ても、上記「旅の話し」が話題に上ったことは、残念ながらほぼありません。

近場を除いて、、、。

 

ともすれば”変人”扱いされそう?な移住者。

地方沿岸部に住んで地元の方々と接する中、次第にこの地で「旅」は「遠きにありて想うもの、想わない方も多数いる」のではと思うようになりました。

旅の楽しさを伝えられたならという希望は、、、はたして、、、余計なお世話なのか・・・。

(小学校の修学旅行先◎城下町、福島県会津若松市は独特の文化が育まれた、今も育まれている、魅力あふれる場所です)